私、ずっと、貧しいけどピアノを習いたいという人に、その人に合わせた低料金でピアノを教えたい、という思いがあったのですが、もうそう思うことやめよう、ブルジョワ相手の商売しようかな、と思う出来事がありました。

1年くらい通ってくれた子で、最初、すごく私のこと嫌な目で見るんですね。それで、うちに通って2回目くらいからそういう目で見なくなりました。

一番ショックで、私が今だに立ち直れないでいることが、「先生ってバイトとかしないんですか、毎日この大きな家で何やって暮らしてるんですか」と言われました。

それでも毎週来るから、仕事だと思ってつきあってたら、私に心を開いたらしく、貧困家庭で、小さい頃ピアノを習いたかったけどお金が理由で習えなかった、と言うのです。

毎週来てくれて、ちゃんと料金を払ってくれるから、貧しい家庭の子に見えなかったのですが、貧困家庭だったということがわかりました。

月謝8000円というのが、その子が払える額で、私もそういう額で教えていた、ということだと思います。

その子が帰った後、何だかポロポロ涙が溢れてきて、人の心に触れることができた気がして、「私、あの子と師弟愛が作れるかもしれない」と思っていたら、コロナ騒ぎになり、来れなくなりました。

それで、その子が来なくなって、昨日偶然、本を読んでいたら「仕事の喜び」という言葉が目に入り、私、最近、仕事の喜びなかったなぁ、と思いました。

その子が私に言う言葉がショックで、次は何言われるんだろう、と、週1回その子が来るだけでこわく、ピアノ教室やって15年になりますが、こんなに生徒さんに怯えたのは初めてレベルでした。

貧しい人にその人に合わせた料金で教えたい、という願いが叶ったのですが・・・叶ってみたら、「もうできない」と思いました。

嫌な目で見たり、ショックな言葉を言ったりするの、礼儀が足らない子でそうなのかと思っていたのですが、あれ、今思うと、貧困家庭のひがみだったんですね。

貧困家庭でも気持ちが優しい人になら教えたいけど、そんなにそんなに思った生徒さんってなかなか来ないものですね。

コロナ騒ぎが収まって、学校から外出許可が出て「また習いたい」と連絡が来ても、断ろうと昨日思いました。仕事の喜びがなく、毎週怯えながら仕事をしていたな、と思いました。次は何言われるんだろう、って。

私の友人が怒っていて、「ブルジョワ相手の商売にしませんか」と言われました。

本当にそう思うような1年間のおつきあいでした。

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ブログ 2020/05/16